歩くと足の付け根に痛みが出る。外側だけ痛いのはなぜ?

最終更新日:2022/12/04

歩くときや立っているときに、足の付け根の外側に痛みが出た経験をしている又はした方もいるのではないでしょうか。
人の主な移動手段となる「歩行」。この動作で痛みが出ると辛いですよね。
今回は、なぜ足の付け根の外側に痛みが出てしまうのかを説明していきます。

足の付け根の外側に痛みが出る原因

股関節は身体を支える役割もある大切な関節です。
下肢と身体のつなぎ目でもあり、足の運動にも関わる部分です。股関節を動かすだけでも痛みがあるという場合はそれ以前にトラブルがあると考えられます。
ただ立っているだけだったりただ座っているだけだったりという状態のときから異常があるのです。
たくさんの筋肉で支えられている股関節は骨盤の外側からはまり込むように位置しています。
前後、内側、外側、三次元的に動くための筋肉がついており、股関節の外側の痛みが生じる場合は足が外側に開きすぎないようにしているストッパーの役割がある筋肉が痛んでいるのです。
そのような状態になってしまう理由は内側に寄せる筋肉が緩んでしまったためです。
次のことをチェックしてみましょう。
背もたれのある椅子に座って軽く曲げた片方の肘を背面に押し付けます。お尻の左右どちらに体重がかかっているか確認します。右肘を押し付けても右のお尻に体重が乗ってしまう場合は左の股関節の内側に引き寄せる筋肉が緩んでいると言えて、左の股関節にトラブルを抱えている可能性がある状態なのです。

足の付け根の外側にある筋肉が疲れると痛みが出る

中殿筋は股関節の外転筋です。股関節を外転させます。片足立ちをしたときに中殿筋が緊張することで臀部が下がらないようにして姿勢を維持します。
触診は立った状態で骨盤の腸骨稜の外側に指を当ててします。そして指を当てたまま脚を外転してもらったり戻してもらったりすることで中殿筋が緊張しているのか確かめます。大腿筋膜張筋も股関節の外転筋で、大腿筋膜を緊張させることで大腿を、屈曲、外転、内旋、そのように動かして、さらに股関節の屈曲筋が働くときには股関節が外旋するのを防ぐ役目も担っています。
歩行の際に大腰筋や腸骨筋は股関節を外旋させる働きを防ぐためのもので脚が真っ直ぐ運ばれるように補正しています。触診は比較的容易で、調べる側の上前腸骨棘の下部(骨盤の前側)を触りながら、立ったまま足を真横に持ち上げる(外転させる)ことを繰り返してもらいます。そのときに大腿筋膜張筋が緊張や弛緩していることを確認します。中殿筋も大腿筋膜張筋も立っていたり歩いていたりするときに横にぶれないように支えてくれる筋肉です。直立しているとき、もしくは歩行しているとき、左右に傾いている人は中殿筋や大腿筋膜張筋が過剰に働くことにより疲労や痛みがでやすいです。

足の付け根の外側の筋肉をストレッチしよう

中殿筋が硬いと腰痛の原因になったり歩き方がおかしくなったりします。
それを回避するためにも中殿筋をほぐしてしなやかにするストレッチを行いましょう。

まず仰向けに寝ます。
右膝を立てて左手で左側に倒します。20〜30秒間、そのままの姿勢の状態を保ちます。
右側も同様に行います。そのときに呼吸を止めないことがポイントです。深く長い呼吸をして筋肉を伸ばしましょう。
また、大腿筋膜張筋のストレッチもあります。
両足を揃えて立ってから足をクロスさせるように左足を後方に引きます。
引いた左足の甲は床につけ、右膝をゆっくりと曲げます。
そうすることでズボンの左側の前ポケットあたりが伸びるはずです。
そのまま上体を前に倒すことでさらに伸ばしやすくなります。30秒間ほどゆっくりとした呼吸で、左右それぞれ3セット行ってください。

足の付け根の外側の筋肉を鍛えよう

中殿筋を鍛えると直立や歩行の姿勢が良くなりますし、股関節の動きも安定します。スポーツなどではケガの予防にもなりますし、中殿筋を筋トレすることは大切です。
しかし中殿筋は弱りやすい側面もありますので、日ごろから特に問題を感じていなくても、きっちりと筋トレしておくと良いでしょう。

中殿筋の鍛え方を2つ紹介します。
<前部繊維・後部繊維を意識したサイドクランチ>
横向きに寝転んで腕枕で体を安定させます。そのまま上の脚をゆっくりと上に広げて戻します。その動きを10回行います。それを左右それぞれ行います。
広げる脚を後ろに向けると中殿筋後部繊維に効きますし、前に向けると中殿筋前部繊維に効きます。
<脚の内側の筋肉と同時に中殿筋も鍛えるサイドランジ>骨盤幅2倍くらいで脚を広げて立ってつま先は真ん前かやや開きます。腰や上体を曲げずまっすぐであることを意識しながら左膝を曲げます。膝が90度くらいになったらゆっくり膝を伸ばして元に戻りましょう。伸ばしているほうの足はしっかりと地面に押し付けるように意識します。反対側も同様にして左右10回ずつ行いましょう。

足の付け根の外側に痛みを出す筋肉以外の原因

足の付け根に痛みが生じるのは、後発性の疾患、もしくは日常生活習慣が原因となって起こることがあります。
疾患としては多いのは坐骨神経痛と変形性股関節症です。
坐骨神経痛は腰から足にかけて伸びる坐骨神経の圧迫や刺激によって痛みやしびれを生じる症状のことです。姿勢が悪かったり腰痛から発症したりして起こり、お尻や太ももの後ろ、スネ、足先までに痛みやしびれが広がることがあります。症状が重いと歩行障害を伴います。痛みが軽度の場合は、つま先を温める、背筋を伸ばす、有酸素運動、お尻や太もものストレッチ、そのような対処方法がありますが、それでも改善されない場合は整形外科の受診をおすすめします。
次に、変形性股関節症は関節軟骨がすり減ることによって痛みが生じる症状のことです。日本の場合は生まれつきの作りによって発症するケースが多く、また運動不足や老化でも発症することがあります。特に女性の場合は男性に比べて筋力が弱いことから関節が緩くて出産をする機能も備わっており骨盤が横に広く股関節に負担がかかりやすいので男性よりも起こりやすいとされています。対処方法は症状の度合いによって対応が変化してくるので整形外科の受診をおすすめします。

足の付け根の外側に痛みを出してしまう生活習慣

足の付け根の痛みには生活習慣も関係してきます。スポーツ習慣がある方の場合はグロインペイン症候群が考えられます。
グロインペイン症候群は恥骨への過度なストレス・負荷によって股関節に痛みが生じるスポーツ障害です。特徴は安静にしていれば痛みはないのですが運動をすることで再発することです。主な原因は運動のしすぎなので十分に休むことで軽減されます。原因を明確にするために整形外科を受診しましょう。できればスポーツ整形外科への受診が望ましく、特に競技への理解のあるドクターへ相談することが大切です。
妊娠している女性の場合はリラキシンという子宮弛緩因子ホルモンによって骨盤周りの靭帯が緩むことが挙げられます。筋肉が緩んでしまっているので骨盤ベルトなどで矯正して対応できます。激しい痛みで辛い場合は、産婦人科の担当医に相談して対応策を提案してもらいましょう。
それから、喫煙習慣がある方の場合は、血行不良から足の付け根が痛むバージャー病があります。タバコのニコチンが血管の炎症を起こすことで血管が詰まりやすくなり、脚の血液を循環させ難くなり足の付け根が痛むようになります。受診ならば内科や脳神経外科をおすすめします。

病気でなければ足の付け根を積極的に動かそう

病気で痛みを生じている場合は、早急に病院で検査、治療を行い、医師の指示に従ってください。病気ではなく、普段の姿勢や体の使い方が間違っているようであれば、積極的に日常生活で脚を付け根から大きく動かす癖をつけていきましょう。脚をしっかりと曲げ伸ばしできると上半身の負担が減り、疲労も溜まりにくく下半身太りも解消できます。なんでもかんでも上半身を曲げたり倒したりで動くのではなく下半身主動で動けるようになると良いですね。

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