朝起きたとき、同じ姿勢を続けたあと、ストレッチなどをしたときに関節がぽきっと鳴ることは良くなりますよね。
人によってはポキポキ鳴らすのがクセになっている方も多いと思います。
今回は、この全身で起こる関節の音の正体についてまとめてみました。
全身の関節が鳴る原因は何?
急に運動をした時、関節がポキッと鳴るということはありませんか?
関節は関節胞という膜に包まれており、この中には関節の潤滑剤としての水分が入っているのですが、急にひねったり、引っ張ったりという動きによってこの関節胞内が広がると、この水圧が急に低くなることで真空の泡ができます。
この様子をストレッチしながらX線で撮影してみると、関節のポキッという音の瞬間に白い丸いものが現れてはすぐ消えるのですが、これが水圧が急に低くなって出来る真空の泡、つまり気泡なのです。この気泡が割れるときに、発生するのが超音波です。ポンっという衝撃音が筋肉を伝わっていく内に、ポキッという音に変化して聞こえるというわけですね。
問題は、この関節がポキポキ鳴る時に出る衝撃波によって周囲の骨が僅かに削られてしまうことです。しかし、これによって骨の動きが良くなって、周囲の筋肉や血流が良くなり、神経も正常に伝わるようになりますし、痛みやコリ感が消えてすっきりした感じになるのです。こう考えると良し悪しがありそうですね。
音が鳴るのは体に良くないの?
関節がポキッとしたことによって削られた骨はどうなるのでしょうか。
人間の身体には治そうという働きがあるため、削られた部分があれば、それを補おうと骨の成分であるカルシウムを集めてくるのです。
例えば、いつも指をポキポキさせていると指の節が太くなってきますが、癖になっているとつい指を鳴らしてしまいがちです。しかし、その度に身体の中では、衝撃波で骨が削れては失われたカルシウムの修理を行うというのを繰り返しているというわけです。
腰の骨を鳴らしていれば、しつこい腰痛になったり、足がだるくなるなど、一時的にすっきりしたように思えても、結局は又痛みやコリを感じるという繰り返しになるのです。
首なども骨を鳴らしている位置によっては、頭痛や視力、喉や鼻などに影響したり、肩こりや手のしびれを招いたりする場合がありますので、関節を鳴らすことですっきりさせるという方法ではなく、他の方法を見つけて解消するようにしなくてはいけません。
気をつけるようにしましょう。
全身の中で代表的な関節【肩関節】
意図的に関節を鳴らしているわけではないのに、関節の音が鳴るようになってしまったという場合、原因には諸説あるのですが、長時間のデスクワークやパソコンなどの使用で肩に負担の掛かる生活を行うことが増えたことにより、姿勢が悪くなり、関節に負担が掛かることで疲労物質が溜まっている事が考えられます。
血流を良くしたり柔軟性を良くするために、強い力で関節を引き延ばすなどの肩関節組織の運動やストレッチを行うようにすると効果的ですが、この運動によってポキッと音がなる現象を、身体が良い行動と捉え、関節を鳴らすことに快楽を覚えて癖になるといいます。
はじめはそれ程音がなっていなかったのに、少し肩を動かすだけで音が鳴るという方の場合、ポキッとさせることが増えた結果、関節を支える靭帯が伸びてしまったことで音が鳴るようになったと考えられます。
関節を支える靭帯が伸びてしまうと、関節や骨が安定位を保てなくなり、肩関節不安定症の心配が出てきます。又、ポキポキならすことは周辺の組織にとってもダメージになりやすいため注意が必要です。
そのまま放っておくと、将来四十肩、五十肩といった症状も出てくるかもしれません。
そうならないためにも正しい動きのストレッチを覚えるようにしましょう。
全身の中で代表的な関節【股関節】
股関節の音がなるという場合「弾発股」という症状である場合があります。
股関節がコキコキ、ポキポキとなるのは、股関節の回りの筋肉や腱、靭帯が股関節の出っ張った骨に引っかかるため音がなっている状態です。
起床時や椅子から立ち上がったり、歩く動作の際に音が鳴ることが多く、音や引っかかる感じはあっても痛みはない場合が多いです。
女性に出やすい症状といわれ、引っかかる感じは骨の上を筋肉や腱、靭帯が動く際に生じるといいます。
主な症状としては、骨盤を左右に動かし、普通に歩くだけで、コキコキ、ポキポキなどの音がなることです。そして、股関節がずれるような間隔、違和感がある、又、足を動かすとおしりや足の付け根が痛みます。又、股関節を大きく動かすと痛くて、可動域が狭く左右差があるのも症状の一つです。この場合、足を外側に回したり、外側に開く時、股関節を曲げた状態から伸ばす時に音がなります。音が鳴るのと同時に痛みがある方は、骨と筋肉や腱、靭帯の繰り返しのこすれにより炎症を起こしている可能性が有るため、安静にしたり、幹部を冷やす必要があります。それでも良くならない場合は一度病院で診てもらいましょう。
痛みを伴って鳴るときは整形外科へ
関節を動かすと音がするだけでなく、痛みを伴う場合は整形外科の受診が必要です。
半月と呼ばれる部分は、ひざのクッションとスタビライザーの役割を果たす部分で膝関節の大腿骨と脛骨の間にあるC型をした軟骨様の板で内側と外側にそれぞれあります。
ひざの曲げ伸ばしに痛みや引っ掛かりを感じる場合、ここが損傷している場合があり、悪化するとひざに水がたまり、急に動かなくなるロッキングという状態になり、歩けなくなるほど痛みが生じます。
腱板とは肩の関節を安定させる働きを持った4つの筋肉の総称で、この筋肉の一部は肩関節の骨と骨の間に挟まれた所を通っていますが、転倒して手をついたり、肩を強打した時多く発生する「肩腱板断裂」は、50~60代では自然に腱板が切れて肩が痛み出す場合があり、使いすぎや老化によっても腱が弱くなったり切れやすくなるということがあります。明らかに怪我をしたというような原因がない場合でも、腱板断裂が起こることがありますので注意が必要です。
腱板が切れてしまった時の症状としては、肩を上げるときに痛みが出る、ゴリゴリした音が出たりします。又、進行すると肩が上がらなくなる、夜中に痛みで目が覚めるといった症状が現れたり、切れた腱のはじが周辺と引っ掛かり炎症を起こして肩が痛み出します。関節のバランスが崩れると力が入らなくなるため、腕があがらなくなるなどの症状が現れます。
しっかりと治療しないと再発しやすい部分もありますので、医師の指示に従って治療を進めてください。
まとめ【関節から音が鳴る原因は何なの?全身いたるところで鳴る。】
全身にたくさんある関節のどこかからポキッと音がなるという人はたくさんいると思います。自然と鳴るのは仕方なしとしても自分で無理に鳴らすようなことは得策ではありません。もし癖になってしまっているようであれば、鳴らないようにゆっくりとストレッチをかけていってみてください。同じ可動域まで音が鳴らずにいければ十分です。そんなことを毎日少しずつ続けていければ、鳴らす癖もおさまってくるのではないでしょうか。