通常の矯正だけでは治らない顎変形症。
顎変形症は歯列矯正と顎の手術で、キレイな歯並びやバランスのとれた顔に改善することができます。
しかし、手術が必要となると不安な気持ちになってしまいますよね。
顎変形症の手術で後悔しないためにメリット、治療期間、手術、病院を選ぶときのポイントを頭に入れておくといいかもしれませんね!
顎変形症について
顎が極端な受け口や出っ歯などにより大きくずれると噛み合わせが悪くなり、歯列矯正でも歯や歯茎に大きな負担がかかるということがあります。
この場合を顎変形症といい、歯列矯正と同時にあごの位置をずらす外科処置・手術も行います。
顎の骨は、上顎骨(じょうがくこつ)と下顎骨(かがくこつ)、頬骨(きょうこつ)から形成され、これら骨の形・大きさの異常や位置バランスが崩れると顎変形症となり、噛み合わせ不良からスムーズに噛めない、話しにくいなどの症状を生じることがあります。
顎変形症は遺伝的・先天的なものとされたり、また指しゃぶりや舌の突出などの後天的な癖が原因になるという説もありますが、実際はほとんど原因不明のようです。
ただいくつかの要因は考えられます。
多くの場合、顎変形症は顎の成長のアンバランスや発達異常が原因で生ずると考えられているのです。
異常は小児期には明らかにならず、思春期に顎が急成長する中で症状が顕在化してくるケースが多いようです。
そこで、原因は定かではないにも関わらず、小さい頃の癖のせいかもしれないと後悔する人もいるのです。
顎変形症の手術を行うメリットとは?
顎変形症において、顎の大きなずれがある噛み合わせの歯列矯正のみによる治療は歯や歯茎には非常に大きな負担です。
このような治療だと歯茎が下がったり、歯の神経が死んでしまうことにより歯の寿命が短くなって後悔ということにもつながります。
顎変形症になった場合は、顎自体の手術をすると歯を動かすことなく歯並びを治すことが可能となります。
顎変形症の治療では外科的に顎の位置を変化させるため、悪い歯並びが改まると同時に顔の形も改善することができます。
顎のずれにより噛み合わせの悪さと顔面変形が症状として現れた場合は、顎の位置が正しい位置に改善される結果、顔の歪みやずれが改善され、顔と噛み合わせのバランスが取れた状態が実現されるのです。
顎変形症の治療・手術は「保険外では?」と心配の方も多いと思いますが、国によって指定された医療機関で顎変形症と診断されて治療を行った場合、歯列矯正・外科処置の両方とも保険診療で受けることができます。
外科矯正治療は全身麻酔による本格的な手術が必要な一方で大きな治療効果が期待でき、唯一の保険適用の矯正治療です。
具体的な費用を見てみますと、矯正20〜30万円程度、手術10万円程度、合計30~40万円程度が相場です。
治療で後悔しないために知っておこう!
治療は術前矯正、手術、術後矯正で3~4年程度が基準で、初期段階での抜歯が必要か、親知らずの有無や顎の移動距離により変わってきます。
治療後はリテーナーという保定装置を使って、噛み合わせの後戻りをなくす必要があります。
下顎の成長は成長期において成長が続くため、この時期に治療を行ってしまうとその後にまた元の状態に戻ってしまって後悔するということがあり、タイミングの見極めにはこのことを念頭におくことが欠かせず、とくに手術は成長が完全に止まってからにする必要があります。
顎変形症は国の指定を受けた特別な矯正専門医でないと保険診療できないようになっており、近くの口腔外科や矯正歯科への問合せがオススメです。
顎の表面の形を変えるだけなら美容整形外科で可能ですが、顎変形症の場合は噛み合わせに変化が生じることから顎変形症専門医の診察が必要となります。
手術ではすべての人ではありませんが、部分的な麻痺・痺れ、鼻の変形、耳鳴り・耳痛が後遺症として残ることがあり、麻痺・痺れの場合手術により知覚障害の出る場合があります。
このような後遺症は「ビタミンB12」で回復できるようです。
耳鳴り・耳痛については上顎を切った後の発生率が8割に達するというデータもあり、まだきちんとは解明されていないようですが術後の炎症反応と考えられています。
ただし上顎の炎症の改善とともに耳の痛み(炎症)も治まってくるようです。
顎変形症の手術の流れについて
顎変形症治療では、最初に歯の表面にブラケットという矯正器具を、接着剤を使って接着させます。
ブラケットは原則として金属製のものが耐久性に優れることから一般的に用いられますが、審美性の点から透明ブラケットが用いられることもあるようです。
手術前の噛み合わせの状態を調整することによって、後悔につながらないよう手術後のしっかりとした噛み合わせを目指します。
噛み合わせの調整がしっかりできた後に、手術を10日前後の入院により行います。
手術では顎の骨を切って正しい場所へ移動し、チタンのプレートをネジで固定します。
チタンの固定装置は状況により顎が固まってから取り外す場合と、そのままにしておく場合があります。
手術は全身麻酔した上で行い、基本的には口の中から行いますので顔の表面に傷が残ることはありません。
手術後には顎を固定し、また腫れ防止のためにバンドを取り付けます。
手術終了後は噛み合わせが正常に戻っていますが、噛み合わせが安定するまでワイヤーやゴムで顎を固定することもあります。
全治療終了後は噛み合わせが治り歯並びも美しくなったり、顎の位置も改善され顔のバランスがよりよい状態になります。
ブラケット装置を外した後は、治療した歯並びが戻ってしまうリスクもありますが、保定装置により安定させることができます。
顎変形症の手術で後悔しない病院選びのポイント!
医師や看護師の定着率の低い病院は常に求人を出さなければなりませんが、受付事務を含め定着率の高い病院では労働環境が整っているので、診察や手術を受ける身としても安心で、こうした点も後悔のない病院選びには不可欠です。
またホームページでも最低限の病院情報が記載されているか、いないかだけで病院の背景を推測できます。
具体的には最寄駅からのバス所要時間・料金などの交通アクセスの情報の詳しさ、待ち時間や混雑時間帯などを明記しているか、病院の方針や経営理念の記載の有無、診療科の説明のわかりやすさ、在籍医師の紹介の有無などは留意点で、患者さんの目線に合わせたホームページになっているかはきちんと判断する必要があります。
またクレジットカード払いが可能かどうかもポイントです。
クレジットカードを導入するとカード会社への手数料支払いが必要なため、経営が厳しいと難しくなります
経営状態の安定には外来患者からの収入が十分必要で、クレジットカード導入にはこうした収入が原資として欠かせません。
将来子供の歯並びで後悔しないためにできることは?
顎変形症の原因には、一概に「これ」といったものが存在しなのが現状です。
幼少期の指しゃぶり、成長期のなんらかの力や問題により大人になってから顎変形症になることも考えられますが、明確な原因は不明とされています。
一番強い要因は「遺伝」だと言われていますが、本質的な原因はわかっていないのです。
欧米人に比べると、日本人は比較的顎変形症が発症しやすいとされていることも原因とも考えられます。
遺伝はどうにもなりませんが、指しゃぶりや外的な刺激から守ることは意識的に可能ですよね。
幼い頃は「自分の指を口に含むことによって安心感を得ることができるから」ということで指しゃぶりの傾向があり、保護者の方は指しゃぶりの行動を否定、制御する必要はありません。
ただし指しゃぶりは歯並びにも影響を与えるとされることから、できる限り避けたほうがよく、保護者側からは指しゃぶりをしていたら抱っこする、親子のふれあいを意識的に増やすなど、根本的なことから見直すのが妥当と思われます。
子供たちは手持ち無沙汰になると無意識に指しゃぶりをしてしまう傾向にあり、こうした場合おもちゃを手渡したり意識が他に向くよう仕向けるとよいようです。
指しゃぶりはすぐにでもなくしていくようにするのが最良で、少しでも可能性のあることから対処を試すとよいことは確かです。
そしてもし顎変形症にかかってしまった場合でも、下手な手術で後悔ということは是非避けたいものですね。
まずは専門家へ相談しましょう!
顎変形症の治療、手術について紹介しましたが、いかがでしたか?
噛み合わせを直すために、手術をするの?と驚いた方も多くいらっしゃったのではないでしょうか?
噛み合わせは将来的に身体への負担を少なくするのに必要なことなのです。
治療や手術に関して不安な場合や聞きたいことがある方は、専門医へ相談し、後悔のない適切な治療を行いましょう!