自分の顔の顎が目立って突出していたり、出っ歯だったら、自分の容姿に自信をもてる人はあまりいないのではないでしょうか?
特に女性にとっては深刻な悩みの種です。
歯列矯正だけでは治らない噛み合わせの症状を顎変形症といいます。
実は、顎変形症の方は歯列矯正と顎の手術によってきれいな歯並びやバランスのとれた顔の形に改善できるのです。
顎変形症の手術法と、不安な術中術後の痛みについてお話させて頂きます!
手術による痛みが怖い!顎変形症とは?
顎の骨は、上顎骨と下顎骨と頬骨きょう骨でできています。
顎変形症は、顎の骨の形・大きさの異常や位置バランスの崩れが原因になります。
顎のバランスが崩れてしまうため、見た目だけではなく、かみ合わせが悪くなって思ったように噛むことができない、話がしにくい、という症状を生じてしまいます。
顎変形症には、上顎前突症・下顎前突症・開咬症・非対称症・下顎後退症などの種類があります。
顎変形症は、上あご、あるいは下あごのどちらかか、または、その両方が、骨格的に位置がずれたり、形態の異常が大きいため、顔の見た目や咬み合わせに問題がある場合を、「顎変形症」と呼んでいます。
痛みを伴うこともあります。
病気の状態は、下あごが前方に出ていたり、上あごが著しく突き出していたりするなど、いろんな状態があります。
顎変形症は、残念ながら、普通の矯正治療だけでは治療の結果が期待できないことがほとんどになります。
外科的に手術であごの骨を切って動かすという「外科矯正治療」を行う必要があります。
顎変形症で手術が必要となる場合
顎変形症の治療は、あごの骨全体が突出ている顎変形症なら外科的な手術が必要です。
顎変形症の治療は、歯列矯正治療と外科的矯正治療があります。
あごの変形が強かったり、あごの骨全体が突出して歯列矯正だけで改善できなかったりするなら、外科的矯正の対象です。
外科手術では、術前あるいは術後に歯列矯正も一緒にすることが多いです。
術前の矯正は、前もって歯を正しい位置に動かします。
手術後に噛むことを可能にするためです。
術後の矯正は、あごに合う歯並びにして噛み合わせを仕上げます。
術前矯正は平均1年から2年くらい、術後矯正は半年から1年くらいです。
治療の流れは、初診、術前診断、術前矯正、入院、手術、術後の矯正、外来通院と検診、となります。
複数の診療科が一緒になって治療方針を検討します。
矯正治療は矯正歯科、手術は口腔外科でします。
顎変形症の手術は、あごの骨の成長が終わってからでないとできないので、一般的には男性は17〜19歳、女性は16〜18歳以降になります。
手術は痛みが心配になるので、それについて次に説明していきます。
全身麻酔で痛みなし!顎変形症の手術法
顎変形症の手術は、全身麻酔をするので、痛みは心配ありません。
また、手術は口の中からするので、顔に傷が残ることはないので安心してくださいね。
あごの骨を切ったり、噛み合わせや左右のバランスが整う位置に移動させたりして、骨をネジなどで固定します。
主な手術方法をご紹介します。
Le FortⅠ型骨切り術は、上あごの骨を平らに切る方法です。
下顎枝垂直骨切り法は、下あごの歯の生えている部分より後ろを縦に切る方法です。
下顎枝矢状分割法は、下あごの歯が生えている部分より後ろを切る方法です。
上・下顎前歯部歯槽骨切り術は、第一小臼歯を抜き、その部分の歯槽骨を骨切りし、骨を後方に移動させる方法です。
状況により、上あごだけ、下あごだけ、両方のあご、となります。
移動方向は、手術方法で得意な方向があるので、症例によってベストな方法を判断して決めます。
下顎は引っ込めるのが得意、上顎は前に出したり、上に縮めたりするのが得意、となっています。
入院は2週間くらいになります。
手術は、だいたい1時間から4時間かかります。
痛みが不安な顎変形症の手術後の食事
顎変形症の手術後は、あごを動かせないよう上の歯列と下の歯列をワイヤーなどで固定します。
なので、口を開けれないので話せません。
食事は、鼻から入れた細い管で、胃に流し込む「経管食」か、流動食を口の隙間から摂ることになります。
あごの骨を人工的に骨折させる状態なので、口を開ける動きに痛みが出ます。
口を開けれるのは、手術方法にもよるのですが、だいたい手術から5日後です。
ただ、食事はミキサーにかけてペースト状にした食事を歯の隙間から流し込まないといけません。
それから、ミキサー食から普通に作った料理をフードプロセッサーなどで細かく刻んだものに変わります。
普通食が食べれるのは、2、3ヶ月後です。
ただ、固い食べ物には注意が必要です。
術後は、首からあごを中心にとても腫れてしまいます。
2日過ぎたら、少しづつ腫れが引いていきます。
そして、10〜14日くらいで普段の50%増しくらいの腫れに落ち着きます。
腫れが完全に引くまで、3ヶ月くらいかかると言われています。
痛みが不安な顎変形症の手術後の噛み合わせ
術後3日くらいは、ほとんど話せないし、その後も話しづらさは残ります。
口を開ける動きに痛みが伴います。
でも、矯正装置が外せる頃には、普通に話すことができるようになります。
また術後は、あごの位置の変化に合わせた噛み合わせにするので、だいたい半年から1年くらいの術後矯正が必要です。
これは、矯正歯科で行われるため、退院後6ヵ月間は、口腔外科と矯正歯科の定期受診をします。
骨がつくまでは2ヵ月くらい必要です。
術後の筋機能訓練も重要だし、新しい噛み合わせで筋肉を慣らすことも大切です。
矯正装置を外してからも、並べた歯が動かないようにする保定期間がいります。
その間は、リテーナーという保定装置を使って、2年くらい装着したら外していけるようになります。
その間の受診は、年に3度くらいです。
だいたい2年くらいで終わりです。
顎変形症で外科手術あるいは矯正治療を受けた場合は、保険が効きます。
ただ、厚生労働大臣が定める施設基準に適合する歯科矯正診断・顎口腔機能診断施設で受診した場合だけ適用になります。
顎変形症の手術から完治までは長期間かかるので、しっかりと考えて決めてくださいね。
顎変形症の手術後の痛みなどの不快事項と生活の仕方
顎変形症の手術後に不快に感じることをご紹介します。
手術後は尿の管が入っていて、尿が体の外に自然に流れ出ます。
管は、患者さんの状態に応じて抜くので、管を無理にひっぱらないようにしましょう。
鼻の充血、のどの痛み、はき気、嘔吐、痛み、発熱、などの症状が出ることがあります。
痛いときは、看護師に伝えて痛み止めを使いましょう。
手術後は傷口周辺が腫れるので、氷のうなどで患部を冷やします。
食事は、流動食をマジックカップなどで、口の隙間から流し込みます。
鼻腔栄養をすることもあります。
傷口の感染予防として、口の中を清潔に保たないといけません。
入院中は歯ブラシが使えないので、水圧で洗浄する器具で口の中を清潔にします。
ポピドンヨードのうがい薬を使うこともあります。
患者さんの回復をみて、主治医が洗髪を許可します。
退院後、定期検診までに次の症状が出たら、病院を受診しましょう。
患部の腫れが増して痛みが強い場合、風邪でないのに熱が38℃以上出た場合、傷口から膿がでた場合です。
顎変形症の手術を頑張って乗り越えよう!
整った美しいお顔は、男女問わず憧れますよね!
正しい歯の噛み合わせと、美しい口元、輪郭を目指す顎変形症の手術。
実際に、手術をするのは怖くて不安ですよね。
でも、すごく悩まれている方は勇気を出して行動してみてください!
鏡を見るのも嫌だった自分を、好きになれるかもしれません。