肩甲骨は他の骨と違い肩にぶら下がっているだけの特徴的な骨。
そのため、様々な動作が出来る反面、やらない動作で使う筋肉はすぐ硬くなったり弱ったりします。
今回は肩甲骨の特徴と筋肉痛や内臓疾患など痛みの原因や対処法をまとめてみました。
肩甲骨は他にない面白い骨
肩甲骨とはどんな形かどんな役割があるか知っていますか?
実は数ある身体を構成する骨の中で肩甲骨はどの骨よりも自由自在に動かせる骨なのです。
ではどうしてそれほど自由自在に動かせる骨が動きにくくなったり筋肉痛になったりしてしまうのでしょうか?
そして肩甲骨を動かさないと、なぜか腰痛やポッコリお腹につながってしまうということもあります。
そんなメカニズムを説明するために、まずは肩甲骨の仕組みを説明していきます。
最初に触れましたが、肩甲骨はぶら下がっているだけだと言いました。
実際この肩甲骨は何と鎖骨と上腕骨としかつながっていないのです。
そのため、肩関節以外の骨の影響を受けにくく、一端にぶら下がるだけですので、自由自在な動きが出来てしまうのです。
次に自由自在な動きをさらに掘り下げて説明していきます。
以下の6種類の動作が出来ます。
①挙上(きょじょう)
肩を真上に持ち上げる動き
②下制(かせい)
肩を真下に引き下げる動き
③外転(がいてん)
肩を前に押し出す動き
④内転(ないてん)
肩を後ろに引き込む動き
⑤上方回旋(じょうほうかいせん)
肩甲骨の下角が外へ回っていく動き
⑥下方回旋(かほうかいせん)
肩甲骨の下角が内へ回り込む動き
上記のような上下左右回転までできることから、別名『天使の羽根』という呼び名があったりします。
肩甲骨周りは筋肉痛になりやすい
肩甲骨が鎖骨と上腕骨としかつながっていないのをイメージしていただくとどれだけ自由かお分かりしていただけたと思います。
ただし、その肩甲骨が一箇所でしかつながっていないというのは、実は語弊があります。正しく言い直しますと頑丈な靭帯で結合しているのは一箇所だけでその他の部分で筋肉によってつながっているというのが、正確であります。
その筋肉とのつながりがあって背中にいつも肩甲骨が収められるのです。
下記に筋肉を並べてみますと
・小胸筋(しょうきょうきん)
【肩甲骨から胸の方に飛び出している烏口突起と肋骨をつなぐ】
・前鋸筋(ぜんきょきん)
【肩甲骨背骨寄りの体内面から脇を通って肋骨をつなぐ】
・肩甲挙筋(けんこうきょきん)
【背骨寄りの上の角から首の骨の上の方をつなぐ】
・大菱形筋(だいりょうけいきん)
【背骨寄りの上から下を背骨とつなぐ】】
・小菱形筋(しょうりょうけいきん)
【大菱形筋の上に並んでつなぐ】
・僧帽筋(そうぼうきん)
【最もパワーのある筋肉で肩甲骨と首から腰の上までの背骨をつなぐ】
・三角筋(さんかくきん)
【肩関節を包み込むように肩甲骨と鎖骨と上腕骨をつなぐ】
これらの筋肉が様々な方向に縮むことで自由自在な動きを可能とするのです。
ひとつの筋肉が働くのではなく必ず複合して連鎖して伸縮しあいます。
どれか一つが仕事をさぼると他に負担が上乗せされます。
それに連られてまた一つの筋肉がさぼるとさらに他に負担が上乗せされます。
つまり、使えない筋肉が増えるほど、同じ動作をするときに一つの筋肉に掛かる負担が強く筋肉痛になりやすいのです。
肩甲骨周りはコリやすい
人間の7~8割は右利きと言われていますが、右の肩甲骨は使いすぎによる体の疲れで痛くなる場合は多いと思われます。
特に最近はスマホを右手で操作し続け、画面を同じ角度でキープするために右肩が常に緊張状態になり、右側への負担がかかってる人が増えているのでしょう。
右利きの人は、最近の行動を思い出し、右手を酷使しすぎてないか振り返って考えてみてください。
また仕事で電話をかける時などに両手をフリーにするためにどちらかの肩にはさんだまま長時間しゃべったりしていませんか?
長時間でなくても、電話が頻回になれば積もり積もってその分身体への負担は増えてしまいます。
他に足を組んで座っている人や、車の運転でアームレストにもたれかかる人は体が傾いた状態が長いので左右の肩甲骨が同じ位置に収まらず、疲れやすくなります。
体の疲れが溜まっていると感じる人は、休息をとったり、湯船にしっかりと浸かったり、ストレッチや軽い運動をするなどの積極的な休息をとることも大切です。
同じ姿勢を続けると様々な筋肉がその姿勢を維持固定しようと固まります。
すると固まった筋肉は血管の通りを悪くし、老廃物も溜まる一方で代謝が悪くなります。この状態がコリと呼ばれるのです。
コリは使い過ぎではなく、同じ姿勢を続け過ぎで起こるものなのです。
肩甲骨の痛みは筋肉痛より内臓疾患が多い
実は肩甲骨の痛みは内臓の不調と関連して起こる場合もあるのです。
筋肉のせいだけではないというのは意外ですよね。
肩甲骨の痛みがある場合は、内科系の疾患がある場合もあるので注意しましょう。
内臓の不調としては、狭心症や心筋梗塞では左肩への放散痛が特徴的です。
急激な痛みの場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。
また、胃腸の問題も考えられます。
胃腸に原因があると、両肩甲骨は外転状態になりやすく、前かがみなって猫背になりやすいと言われています。
その姿勢の崩れから肩甲骨が正しい位置から不自然な筋肉の引っ張りが起こり、こわばりや、だる重いような感じがあり、何かが詰まったように感じることがあるようです。
こちらも先ほどと同じく左肩甲骨や左肩に痛みが出やすいそうです。
膵臓は体内の糖をコントロールするホルモンや消化酵素を出す臓器です。
甘いものや脂っこいものばかりを食べ過ぎている人は膵臓に負担をかけています。
この脾臓の状態も悪いと左肩甲骨に痛みとして現れるそうです。
これらと反対に右肩や右肩甲骨周辺が痛む時は肝臓や胆のうに問題がある場合があります。
内臓の中でも、肝臓は『沈黙の臓器』とも呼ばれます。
初期の軽い自覚症状がほとんど現れないことで有名な臓器なので、こう呼ばれます。
肝臓は体内の右寄りに収まっています。
そのため肝臓に負担がかかると、肝臓の上にある横隔膜が刺激されて右肩や右肩甲骨の動きを悪くしてしまうのです。
その結果、右頚部から右肩甲骨のこりや痛みとして感じられます。
また、胆のうの病気でも右側に痛みがでることがあります。
胆石や胆嚢炎などを一度検査することをオススメします。
内臓の不調が必ず肩甲骨の痛みを伴うとは言えませんが、一つの兆候として見逃さないようにすると早期発見につながるでしょう。
筋肉痛やコリを解消肩甲骨ストレッチ
肩甲骨周りの筋肉痛やコリを解消するには、肩甲骨ストレッチをして先ほど説明しました筋肉たちを満遍なく伸縮させることです。
満遍なく使う簡単な動作としてやっていただきたいのは、対角ラインストレッチです。
良くある肩甲骨ストレッチも是非やっていただきたいのですが、ここでは紹介しません。他の記事にまとめてありますので、そちらを参考にしてください。
それでは対角ラインストレッチのやり方をまとめます。
【対角ラインストレッチ①】
・腰幅より少し広めで足を広げ、背すじを伸ばし胸を張り、視点を遠くに置きましょう。・自分から見て11時の方向に右手を伸ばし、左手は腰に添えましょう。
・肘は伸ばして手のひらは後ろに向けたまま10秒キープしてください。
・そのまま腕は伸ばしたまま、今度は5時方向に伸ばします。
・リレーでバトンを受け取るように斜め後ろに伸ばし10秒キープしてください。
・腕を伸ばしたまま、手のひらの向きを切り替えることを忘れずに11時と5時を往復10回繰り返しましょう。
・終わりましたら、腕を入れ替えて同じように繰り返してください。
・左手は1時と7時のラインです。
【対角ラインストレッチ②】
・先ほどと同じ姿勢です。
・右手を1時方向に伸ばし手のひらは後ろに向けて10秒キープしてください。
・次に腕を捻りながら7時方向に伸ばしましょう。
・肘は前、手のひらも前に向けて10秒キープしてください。
・腰から刀を抜くイメージです。
・肘は出来る限り曲げずに1時と7時を往復10回繰り返しましょう。
・終わりましたら、腕を入れ替えて同じように繰り返してください。
・左手は11時と5時のラインです。
【対角ラインストレッチ③】
・先ほどの対角ラインストレッチ①を両手一緒に胸の前で交差するようにして10回繰り返してください。
・胸の前で交差するときは一回一回腕の重なりを左右入れ替えてください。
・終わりましたら、対角ラインストレッチ②も10回繰り返してください。
以上のストレッチを肩甲骨の動きを意識しながら少しずつ可動域が広がるように続けてくださいね。
まとめ【肩甲骨の痛み。筋肉痛・コリ・内臓疾患など色々考えられる。】
どうでしたか?
肩甲骨は特別な役割を与えられた骨たど言うことがご理解いただけましたか?
肩甲骨を使わないで健康でいることは叶わないのです。
肩甲骨の痛み、筋肉痛やコリでお悩みの方は普段から意識して肩甲骨を動かしてあげましょう。
それだけでハッピーライフを送ることが出来ますからね!