膝の関節がズレる違和感はなぜ生じる?膝の構造と原因とは。

最終更新日:2023/02/27

膝の関節がズレるとことあるごとに痛みを伴うものです。
階段の昇り降りや椅子から立ちあがることでも生じます。
痛みを我慢していれば悪化する可能性は高いですし、安静にしてたら生活が成り立たない。そんなことにならないためにも、膝に違和感がある方は正しい知識を身に付けて不安を解消していきましょう。

膝の関節構造

膝関節は身体の中でも大きな関節で大腿骨と脛骨、膝蓋骨の3つの骨から構成されています。イメージとしましては、脛骨の上端がテーブル状になっていて、その上に大腿骨がバランスを取って乗っかっている感じです。そして、前方の隙間を蓋をするようにお皿状の膝蓋骨があります。
実際は大腿骨と脛骨、膝蓋骨と大腿骨の接触面には軟骨で保護されていて、大腿骨と脛骨の接触面にはさらに半月板が存在しています。
そして大腿骨がテーブルから落ちないように、前後左右に強力なバンドの役割を担っている靭帯によって安定性が保たれています。
また、ひざを曲げ伸ばしする働きは筋肉や腱によって行われていて、表ももの大腿四頭筋や裏もものハムストリング、縫工筋や大腿筋膜張筋とつながる腸脛靭帯、薄筋といった様々な筋肉が膝をまたいでつなぐ筋肉が作用しています。
さらに、膝関節全体は滑膜という薄い膜で覆われた関節包という袋に包まれています。
関節包の中は関節液で満たされていて、膝の滑らかな動きや関節軟骨の栄養に大切な役割を果たしています。
両膝は立っている状態での荷重を1とすると、歩くと2~3倍、階段の昇り降りで3~4倍、ジャンプするようなときは5倍以上の負荷がかかります。
そう考えると常日頃から膝にはストレスがかかっていることが容易に想像できますね。

膝の関節が内外にズレる

それでは膝の関節がズレる原因を考えていきましょう。
まずは内側に体重が掛かった場合です。イメージとしてはX脚のように膝が内側に入ってしまう状態です。すると脛骨は内側に倒れ、テーブルの上の大腿骨は内側に滑り落ちようとしてしまいます。こうなると内側で膝をまたいでついている、ハムストリングや薄筋、縫工筋が脛骨が大腿骨が滑り落ちないように支えながら、下のテーブルである脛骨を内側に引き寄せようと頑張ります。その結果、この姿勢が続くとこれらの筋肉が支え続けて疲弊して硬くなってしまい痛みを訴えだすのです。
反対に外側にズレる場合はO脚をイメージすると良いでしょう。脚が外側に広がろうと体重が掛かると脛骨は外側に倒れ、大腿骨は外側に滑り落ちようとします。こうなると膝の外側をまたいでいる腸脛靭帯が落ちてこないように壁を作り、脛骨が倒れないように硬くなって支えます。結果、膝の外側に痛みを生じることになるのです。
このように歩くわけでもなく立位の姿勢で膝への荷重が増えなくても、姿勢ひとつで膝は負担を被っています。このようにズレた姿勢で歩いたりすれば、荷重は2~3倍に上がりすぐに膝の痛みの症状が出てくるのもうなずけます。
さらに激しいスポーツともなれば膝関節を包んでいる頑丈な靭帯までも損傷してしまうことになりかねないのです。

膝の関節が前後にズレる

今度は前後にズレる原因です。
この前後にズレるという表現を使うよりも、膝の曲げ伸ばしがしにくくなってくる状態に置き換えたほうが分かりやすいと思います。
膝裏を伸ばすのがきつい方はかなり多いでしょう。立位で膝を伸ばしたまま前屈をして床を触れなければ問題ありです。
デスクワークや長時間運転の方は特に陥りやすいです。膝を曲げる作用のハムストリングやふくらはぎの筋肉は座り姿勢では硬くなりやすいのです。硬くなると、いざ膝を伸ばそうとしたときに膝裏で膝関節をまたいでついているハムストリングとふくらばきの腓腹筋が伸びきらなくて痛みを訴えるようになります。
反対に大腿四頭筋が硬くなってしまうと膝を伸ばす力が強く働き、正座をすると大腿四頭筋が伸びずに痛みを訴えたり、膝のお皿である膝蓋骨をはがそうとする力が働くのでお皿周辺にも痛みが出ます。
このように膝の前後にズレを生じるような前ももと裏もものバランスの悪さからも痛みを伴いやすいのが膝という特別な構造によるものなのです。

膝がズレるのは股関節にも原因がある

たくさんある関節の中でも膝の関節に問題を訴える方は非常に多いです。
どうして膝に負担が掛かり易いのかは先の文章を読んでいただいた方はなんとなくご理解していただけたとは思いますが、実際のところ膝のズレは膝に直接的原因がないことが多いのです。
ではなぜ膝に障害を抱えやすいのでしょうか?
それは股関節と足関節の間に膝関節があるからなのです。
そのせいで股関節や足関節に問題があると連鎖的に膝にも問題が出てくるのです。
例えば足首を捻挫して、ちゃんと手当をせずに放っておいたら痛みを庇うように重心が外寄りになって脛骨が外に倒れやすくなった場合。
女の子座りばかりをしていることで股関節が内側に回りやすくなった結果、膝が内側に入りやすくなってしまう場合などが例として挙げられます。
足関節の異常は捻挫や靴の変形、サイズの合わない靴やヒールの高い靴などの影響が考えられますし、股関節の異常は普段の座り方や歩き方の影響が考えられます。
このように膝に違和感や痛みを訴えるような方はご自身の足元や股関節の状態をまず見直す必要があると思われます。
その結果、膝の痛みやズレが解消する方は間違いなく多いでしょう。

膝の正しい曲げ伸ばし方

膝を正しく曲げ伸ばしするポイントはたくさんありますが、まず一番念頭に置いていただきたいのは、膝とつま先の向けを揃えて曲げ伸ばしすることです。これを怠ると必ず膝を痛めます。
それから股関節の可動域が内外に偏っているのもダメです。
先ほど説明しました女性は女の子座りばかりしていると股関節は内旋優位になり膝が内側に入りやすくなります。反対にあぐらばかりで座っていると股関節は外旋優位になり膝が外向きになりやすいです。そうなると太ももの内や外の筋肉の力関係が崩れ荷重が真っすぐに掛けられなくなり、脛骨のテーブル面がずれてしまいます。
そうならないためにも股関節のストレッチを取り入れて膝への負担を減らしてあげましょう。
股関節のストレッチをすると膝への負担が減るだけでなく全身のバランスが整う効果も期待できます。なぜなら股関節のバランス=骨盤の安定だからです。
骨盤が安定するとその上に積み重なっている背骨も自然とバランス良く並び頭の位置や肩の位置も安定します。すると重心のズレが少ない為に骨格で支えることが出来るようになります。骨格で支えられるようになると倒れまいと姿勢保持するために様々な筋肉が緊張し続ける必要がなくなり、疲れにくくなり筋肉も筋肉も硬くなりにくく膝へのストレスも減るのです。
そう考えると面白いもので、膝に違和感のある方は膝を治すのではなく股関節と骨盤を整えることが最優先に考えるべきことになります。
現在膝に違和感がある方はぜひ一度ご自身の股関節の柔軟性をチェックしてみてはいかがでしょうか。

まとめ【膝の関節がズレる違和感はなぜ生じる?膝の構造と原因とは。】

膝の関節がズレることは膝だけでなく股関節、もしくは全身のバランスが崩れている証拠です。膝の構造を知ったうえで膝への負担をいかになくして快適に過ごすために何をすべきか考えた方が良いでしょう。膝を痛めてしまったら、将来寝たきりになってしまう可能性も高いので、いますぐにでも行動に移してください。
そのための参考になればと思いこの記事をまとめました。
最後までお読みくださりありがとうございました。

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