腰が曲がっている高齢者を見かけたことはありますよね。高齢者になると腰が曲がるのは当たり前と思っている方もいるのではないでしょうか?しかし世界的にみると、高齢者になっても腰が曲がらない人は多くいます。この違いは日本人の生活習慣も関わっているようです。原因やメカニズムを理解して、腰の曲がらない老後を過ごせるようにしましょう。
高齢者になると腰が曲がる理由
背骨は、前から見ても後ろから見ても、大抵真直ぐになっていますが、横から見た場合にのみ、首の頸椎部分、胸、腰、といった箇所で前後に曲がって見えるようになっています。こんな風に骨が前後に曲線を描いていることで、しなやかな体の動きが可能になり、無理なく前後の動きを行うことができるのです。
しかし、この背骨の湾曲が異常な場合があり、関係者の間では、脊柱変形と呼んでいます。症状は、大きく分けて、前弯症(前へ変形湾曲)と、後弯症(後ろへ変形湾曲)、側弯症(横へ曲がる)の3つのタイプになります。
特に問題なのは、後ろへ曲がる後湾症で、腰痛で医療機関を受診される方の多くが、腰の後湾症によるものであるとも言われています。
後湾症は、常日頃、前かがみで作業する仕事をしていたりと、日常生活の中で、前傾姿勢が習慣になっている人がなりやすい傾向にあるといえます。このため、体の前方に負担がかかる為、後湾症を患ってしまう原因になるのではないかと推測することができます。
後湾症をはじめ、背骨に関する症状は男性に比べて、女性が患いやすいと言われています。
骨粗しょう症になるのも女性が多いと言われています。特に閉経後の女性が患いやすく、女性ホルモンの減少が骨の維持に大きく関与していることがわかっています。また、骨の変形は、筋肉にも関係があるといえ、男性に比べて筋肉量が少ない女性が発症しやすいのも納得できる話です。
日本人の生活習慣も腰が曲がることに関係する!?
日本人に比べて、欧米人や中国人には、湾曲した腰の人は少ないと言われています。どうして日本人にだけ腰が曲がった人が多いのでしょうか。
筋肉の使い方を日本人と欧米&中国人で比べてみましょう。
日本の鋸は引いて切りますが、欧米や中国では押すことによって切れます。
人を招く時、日本人は手のひらを下にして招きますが、欧米や中国の人は、手のひらを上に向けて招きます。
今あげた二つの動作は、どちらも日本人は二頭筋を主に使用する動作で、欧米や中国の人は三頭筋を主に使用している点が違います。
また、空手などは、チョップなど、腹筋を利用した動きが多いですが、ボクシングや中国拳法には、腰の力を利用した動きが多く見られます。
更に、日本人は家に入る時、屈んで靴を脱ぐ風習がありますが、欧米や中国ではこうした習慣はありません。
こうした生活習慣による筋肉の発達の違いも腰が曲がっている人の割合に関係しているのかもしれません。
一説には、水の中に含まれるカルシウム量の違いなども関係しているのではないかといった説もありますがはっきりした理由については、まだわかっていません。
腰が曲がるメカニズム
誰しも勉強やゲームなどに没頭しているうちに、知らず知らず猫背になっていて、母親に注意されたなんていうことがあったのではないでしょうか?物事に集中できるということはとても素晴らしいことです。そして、集中しなければならないことは、人生の中で幾度となく起こりますし、集中することは、人として家族を養い、生活していく上でとても大切なことです。
しかし、長時間集中していると、姿勢を保つことにまで、意識が回らないため、自然と前傾姿勢になってしまうことになります。そして集中力が高い人ほど、前傾姿勢になってしまうのです。
人は、背中や腰が痛くなってみてはじめて、自分が長時間腰を曲げていたという事実に気が付くのです。
若いうちは、伸びをしたりすることで、曲がった腰を伸ばすことが可能です。しかし、年齢を経て、そうした経験が何度も繰り返されて習慣化していくことにより、体の前後で筋肉の縮み方の違いが表れてしまいその差により腰が曲がったままになるとも考えられています。
腰の筋肉が硬くなると
柔らかく柔軟なゼリーも時間を経るといつしか固形状に固まります。
人間の骨の関節をつかさどる腱・靭帯といった組織もゼリーと同じようにゼラチン質から形成されています。
これにより、関節が変形したまま固定化されるという状態に陥り、年を経ると腰がまがったままになるのです。
腰の椎間板ヘルニアは、体重などで圧迫された椎間板が背骨の外へと飛び出してしまうことにより起こります。同様な理由で背骨の内部へ出てしまう症状は、腰部脊柱管狭窄症といいます。
こうした症状のまま、普通に体を動かそうとしても、体の内外に飛び出した椎間板が神経に接触するため、常に激痛を感じ、日常生活にも支障をきたしてしまいます。
痛みのため、腰を伸ばすこともままならなくなるでしょう。
こうした症状をそのままにしておくと、固定化されて曲がったままになるのです。
健康な状態の時、人は前に7、後ろの3と7対3の割合で調整されていると言われています。
前傾姿勢が多く腰が曲がったままになる人はこの割合が9対1など偏った状態になると言われています。年を経た時に真直ぐな姿勢を保つためにも、今のうちから意識を変えて、偏った筋肉使用を改善したり、栄養バランスをよくして丈夫な骨を維持することが大切です。
高齢者でも腰のストレッチは大切
腰の痛みの予防や改善にはストレッチなどが、一般的に効果的だとよくいわれています。筋肉をいつも使わない方向に伸ばすことにより、蓄積されていた筋肉の疲労が取り去られ、副交感神経を刺激して、気持ちを穏やかにリラックスできることが、痛みの改善につながるといわれている理由です。
また、ストレッチを行うことで、体の中の血の流れも良くなり、代謝もあがります。更に固まった筋肉をストレッチで柔らかくほぐすことで、姿勢もよくなり、同時に姿勢が悪かったことで引き起こされた腰痛も改善されるのです。
同じストレッチを行うのであれば、腰の筋肉だけでなく、姿勢の維持に役立つ脊柱起立筋の他、脇腹~背中への筋肉、骨盤や股関節、太ももの前側の大腿四頭筋、お尻周辺の筋肉など、腰に影響を与えるといわれる部分に関するストレッチも、同時に行うのがオススメです。
一緒にこれらの筋肉のストレッチを行うことで、より効果的に痛みを取り除くことができるのです。
腰が曲がる前に高齢者のためのストレッチ
◆背筋に効果的なストレッチ
1、仰向け状態で、膝を掴み丸くなります。
2、へその穴を視界に入れながら、背筋をゆっくり伸ばしていきます。
1と2を何度か繰り返します。痛みがあれば無理せず中止してください。
◆腰に効果的なストレッチ
1、仰向けになり、右ひざを左手で持ち、左方向へとねじります。上半身は動かさず、下半身だけをねじるようにしましょう。床に膝がつかなくてもOK。
2、次に左ひざを右手で持ち、1と同様に右へとねじります。
◆ヒップの筋肉に効果的なストレッチ
1、仰向け状態で、左太ももに右足首をのせ、数字の4のようなポーズをとります。両手で膝の裏側から支え、胸に引き寄せるようにして、ヒップを伸ばします。
2、右太ももに左足首をのせ、同様に行います。
◆背骨に効果的なストレッチ
1ネコのように四足で、息を吐きながら背中を丸くします。
2、今度は息を吸いながら、背中を伸ばします。
◆腸腰筋に効果的なストレッチ
四つんばいから、片足ずつ前に出し、反対の足を伸ばします。前に出した足は胸につけ、しっかり体重をのせましょう。両足とも行い、3セット。
◆内ももに効果的なストレッチ
胡坐のように座り、左右の足の裏を合わせます。足先を抱えて、前へと体を倒し、内ももの筋肉を伸ばします。股関節が硬い方は、無理のない範囲でOKです。
お酒を飲んだ後や、体調の悪い時のストレッチは危険なのでやめましょう。
高齢者になると腰が曲がるのは日本の生活習慣に原因があった まとめ
高齢者の方を想像するとき、特に昔の方を想像すると大体の方が、腰の曲がっている高齢者をイメージするのではないでしょうか。
外国の方にも想像してもらうと、どういったイメージの高齢者になるのか聞いてみたいですね。
腰は、要(かなめ)という漢字が入っているくらい重要な部位ですので、若いうちからしっかりとケアしていきたいですね。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。